【2026年9月時点】
鹿児島の体験型研修に、いま「歩きながら考える」時間を組み込む会社が増えている。 会議室で中堅社員が沈黙するのは能力不足ではなく、思考する余白が組織の中に残っていないからです。屋久島の森歩きを軸にした体験型研修は、Stanford大学のOppezzo & Schwartz(2014)が示した「歩く行為が発散的思考を81%引き上げる」効果を、そのまま社員の意思決定に持ち込む設計になっています。
この記事でわかること
- なぜ中堅社員は、会議室で発言しなくなるのか
- 屋久島で研修参加者が「歩き始めた瞬間」に、何が変わったのか
- SOUの体験型研修で「歩きながら考える」を組織に定着させる3つの装置
目次
森を3人で歩いていて、僕が立ち止まった話

去年、屋久杉の森の中を3人のリーダーと一緒に歩いていました。
「常に何かをインプットしていないと不安になってしまうんです」
歩いていた1人のリーダーが、ぽつりと漏らした言葉。僕はそのとき、思わず立ち止まりました。
「歩くって、瞑想だったんですね」
そう言葉を続けたその人は、都内でチームを見ている中堅のマネージャー。会議室ではよく話すし、指示も出せる。でも、自分の頭の中で何が起きているのかを言葉にする時間は、ずっと持てていなかったと話していました。
屋久島の森は、電波が入りにくい場所が多いです。スマホで検索することができない。次の予定の通知も届かない。歩き続けていると、外から入ってくる情報がゼロになる時間ができます。
その時間に、自分の内側から言葉が湧いてくる。
僕自身、屋久島に住んで10年以上経ちますが、この体験を何度もしてきました。
会議室で”沈黙する中堅”は、能力が足りないのではない
企業研修の相談を受けていると、経営者から必ず出てくる言葉があります。
「うちの中堅、会議で意見を言わないんです」
「若手のときは元気だったのに、いつからか黙るようになった」
これを能力不足だと決めつけると、たぶんいちばん大事な原因を見落とします。
中堅社員が沈黙するのは、頭が悪くなったからではありません。
会社の中に「考える時間」が、一切残っていないからです。
朝から会議、会議、Slackの通知、メール、また会議。1日の中で、自分の思考が動く時間がゼロに近い。会議室に呼ばれた瞬間から「何を発言するか」を頭で組み立てながら座っている。これで新しいアイデアが出るはずがない。
僕は元教員です。教員時代、この構造の中にいました。職員会議で意見を求められても、その場で答えを組み立てることができない。「あとで考えます」と言えないから、なんとなく無難なことを言って終わる。それを8年繰り返しました。
主任になって2年半のとき、涙が出るくらい空回りをしていた時期があります。その原因のひとつが、まさに「考える時間を自分に許していない」ことでした。
Stanford大学の研究:「歩くだけで、創造性は81%上がる」
「歩くこと」と「考えること」の関係を科学的に測った研究があります。
Stanford大学のOppezzo & Schwartz(2014)は、”Give Your Ideas Some Legs(アイデアに足を生やそう)”というタイトルの論文で、4つの実験を通して「歩くと創造的な発想が増える」ことを示しました(出典:Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 2014 / Stanford Report 2014)。
論文の中で、僕が特に目を引かれた数字がひとつあります。
「発散的思考(新しいアイデアを生み出す力)を測定したところ、参加者の81%が、歩いているときのほうが座っているときよりスコアが上がった」
しかも、屋内のトレッドミルで歩いても、屋外を歩いても、効果はほぼ同じでした。つまり「歩く」という行為そのものが、アイデアを引き出しています。
これが屋久島の森で歩くとなると、さらに「電波が入らない・通知が来ない」という外部からの遮断が加わります。頭の中で反すうしていた雑務のリストが、少しずつ静まっていく。その静けさの中で、内側から言葉が動き出す。
森の中で”15分間、座って”みたときの話

もうひとつ、忘れられない場面があります。
「本当にやりたいことがわからない」と会議室で言っていた参加者と、屋久島の森の奥まで一緒に入ったときのこと。川のせせらぎが聞こえる場所で、僕はこう伝えました。
「ここで15分、静かな時間を過ごしましょう」
僕たちは何も話さず、ただ座っていました。
最初はいろんな雑念が浮かんでいたそうです。「明日のミーティングどうしよう」「あのメール返してないな」。でも15分後、その人はこう言葉を出しました。
「やりたいことをやろうって、自然と思考が出てきました」
これは僕が誘導した答えではありません。ただ静寂の時間を提供しただけです。
企業研修の現場でいちばん必要なのは、答えを提供する側の講師ではなく、この「考える15分」を組織のカレンダーに戻す仕掛けだと、僕は思っています。
SOUの体験型研修に組み込んでいる3つの装置

株式会社創(SOU)で提供している体験型研修は、2泊3日・最小催行3名・1名18万円税抜(6名まで)が基本料金です。1か月後の振り返りセッションも料金に含まれています(料金・導入の流れ)。出張実施にも対応しています。
その中で、「歩きながら考える」を屋久島の環境ごと組織に持ち込むために、次の3つの装置を組み込んでいます。
1. スマホを預けて歩く”問い持ち歩き”時間
朝、参加者にひとつだけ問いを渡します。「あなたの部署でいま、いちばん判断を先延ばしにしていることは何ですか?」といった、その人の現場につながる問い。それを頭に入れて、スマホは施設に置いたまま森を歩きます。
「答えを見つけよう」と力まなくてよい設計にしています。歩いている間に、勝手に思考が動く。これがOppezzo研究の効果を屋久島の環境で最大化する装置です。
2. 15分間の”静寂で座る”時間
森の中の川沿いに座り、15分間、誰とも話さず、何も見ない時間を作ります。ここで「答え」が出ることを目的にしません。ただ、自分の内側の声が聞こえる余白を、身体で覚える。
会社に戻ってからも、朝の15分をこの時間に充てられるようになる参加者が多いです。
3. 帰任1か月後の”振り返りセッション”
体験の熱量は、日常業務に戻ると急速に薄れます。だからSOUの研修では、1か月後にオンラインで振り返りセッションを組み込んでいます(料金に含む)。
「あの15分の静寂を、業務のどこで再現しましたか?」と問い直す。屋久島で得た感覚を、日常の意思決定に接続するための装置です。
Q&A(よくある質問)
Q1. 「歩きながら考える」だけなら、鹿児島市内でもできませんか?
できます。ただ、通知・情報のシャットアウトが同時に起きる場所は限られます。屋久島の森は、電波が入りにくい環境そのものが「思考の余白」を強制的に作ってくれる装置になっています。
Q2. 中堅社員に体験型研修は、若手向けと比べて何が違うのですか?
中堅社員の課題は「会議で発言しないこと」より、「自分の考えを言語化する時間がないこと」が本質です。屋久島での歩行と静寂は、この言語化の前段階の余白を作る場になります。
Q3. 何名から実施できますか?費用はいくらですか?
最小催行3名から、6名まで1名18万円税抜(2泊3日)が基本です。1か月後のオンライン振り返りセッションも料金に含みます(詳細は料金公開ページ)。
Q4. 屋久島に行かず、社内や鹿児島市内での実施は可能ですか?
出張型の体験型研修にも対応しています。詳細は個別にご相談ください。
Q5. 参加者にスマホを預けるのは、強制ですか?
強制ではありません。「歩く時間だけはスマホを預ける」という合意を、参加者同士で作る場面を用意します。自己選択(チャレンジ・バイ・チョイス)が体験の質を左右するので、そこは強制しません。
まとめ:会議室に戻す前に、”歩く時間”を返す
中堅社員が沈黙するのは、能力の問題ではなく、余白の問題です。
会議で発言する回路を鍛える前に、まず「歩きながら考える」という基本回路を組織に戻す。屋久島の森は、その回路を最短距離で復活させてくれる環境だと、僕は10年以上この島で研修と向き合ってきて実感しています。
もし、会議の沈黙に困っている中堅がいるなら、まずは1人でも「歩く時間を持ち帰る」きっかけを作ってみてください。
あなたの会社では、社員が”何も持たずに歩く”時間を、いつ最後に取れましたか?
著者
株式会社創(SOU)代表 渡邉匠(ちげ)。京都出身、屋久島在住10年以上、元教員(通信制高校勤務8年)、コーチング認定資格取得後2025年に独立。屋久島の自然を舞台に、企業研修・リトリート・コーチングを提供。SOU公式サイト